2020年のペーパーウェル企画で「猫又温泉郷へようこそ」という折本を配信しました。
旅立った猫に再会できる場所のおはなしでしたが、これをつくったときは、我が家のテンがその2ヶ月後に旅立つとは砂つぶほども考えていませんでした。
いつか猫たちが旅立ったあとにも会えたらいいなあという想像でつくった折本。
猫たちには「20歳までいっしょにいよう」と常々話していたので、自分としてはまだ先のことと。
以前から〈失ったもの〉〈失ったひと〉の物語を書く傾向があったので、特別の符牒でもないのですが……
ああ、書いちゃってたな。
と、思っていまいました。
あまり猫の動画を端末で撮影することもなかったのに、去年はなぜかテンを撮影することが多かったり、よく写真も撮っていたり。
意図せずテンの旅立ちを予期していたようで、「ああ……」と。
でも、今、もし猫又温泉郷でテンと会うにはどうしたらいいかと考えています。
そこへ行って、テンと話をする方法を考えています。
独自のグリーフワークです。
グリーフ。
悲嘆の感情は取り扱い方を違えると、のちのち心身にひずみを生じる可能性があります。
父が他界したときは、元々の関係性がよくなかったので、自分の感情を認められなかったりして、取り組みに何年もかかりました。
テンについては、「猫と人間は違うから」ということとも違い、生きている間にしっかりと交流を持つことができていたので、洪水のような悲しさに飲まれたあと、さみしさこそあれ、徐々に気持ちの波は落ち着いてきています。
(ずっとテンと一緒に育ったもう片方の猫の方が心配です)
大切ななにかを失った後、断ち切られたように感じる関係性を再構築できるか・意味の構築ができるか。
そのあたりが大切なのじゃないかと思っています。
そうして、自分のなかでその存在を再構築したとき、一緒に生きることができるのじゃないかと。
「猫又温泉郷でテンに会う方法」を探って、試してゆこうと思っています。
こちらとあちらの境界を越えるような気がして、少し怖さもあるのですが、やってみます。
思いついたということは、あとになってまた意味の生まれることかもしれないから。
進捗はまたこちらの日記にて。