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表紙カバーのこと。

ずいぶん遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

 

今年度は職場が変わりまして。

今までは年末年始は働くのが普通だったのですが、今回は社会人になって初めて、年末年始休暇をいただきました。

いまだかつて経験したことのない7日間という長期休暇。

1日を除いて、ほぼものづくり。充実でした。うれしい。しあわせなおやすみでした。

 

そんなわけで、もくもくと3月のふたり展の準備をすすめていましたが、製本の支度も整い、いよいよ豆本づくりを始めています。

全部で36冊つくります。(販売するものは30冊になる予定です)

 

今回の本づくり、一番時間をかけているのは、表紙カバーです。

本文中に、語り手が四十雀の影を手に乗せたときに「太陽に焼かれた温度」を感じる部分があります。

太陽に焼かれた温度。それはどんな感じかなあという想像を、形にしてみたいと思いました。

古びた雰囲気で、懐かしい匂いがして、焦げたような、色。

紙をアンティークっぽく染めようか?

それとも、ちょっと焼いてみようか?

 

いろいろ考えた末、紙を合わせてみることにしました。

まずは、マーメイド(左)とクラフト紙(右)を糊ではりつけます。

乾燥したら、クラフト紙の層を剥ぎ取ります。

色味にムラができるのが、「焼かれた」感じのように思えました。

カッターと手で剥ぐのですが、なかなか大変。

終わるころに気づいたら、指にマメができていました。

でも、できあがった紙の格好よいこと!

カットして並べてニヤニヤしてしまいました。

 

さて。この紙に切り込みをいれて、タイトルをつくっていきます。

これがまたどうしても時間のかかる作業で、1枚40〜45分かかってしまいます。

自分の不器用さがもどかしいところですが、不器用なゆえ、できあがった豆本は、それぞれがちがった風合いを持つ、世界で1冊のものになります。

こんな風に、ライトで透かして遊ぶこともできます。

日常生活でも、「影」が好きです。

光の加減で形を変える影にみとれてしまう。

 

機会のある方は、ぜひ手にとってご覧になって遊んでみてもらえたらうれしいなあと思います。